なぜ胃カメラが必要なのか
胃がんで亡くなるのを防ぐ方法には、以下の2つがあります。
① 胃カメラでピロリ菌による萎縮性胃炎がみられたら除菌治療を行う
② 胃カメラで早期胃がんをみつけ内視鏡治療を行う
いずれも胃カメラが必要で、胃がんを撲滅するために必須の検査といえます。
しかし胃カメラはバリウム検査と比べると、費用が高く検査に苦痛を伴うのが欠点です。
ただバリウム検査では早期胃がんはなかなか発見できません。さらに検査後に腸閉塞や虫垂炎を起こすリスクがあり、もはや医師は受けない検査となっています(自分もバリウム検査は受けたことはありません)。
今回は重要な検査である胃カメラを楽に受ける3つの方法を紹介します。
消化器内科のクリニックを受診する
市民病院などの大きな病院では、経験の浅い研修医が胃カメラを担当していることも多いです。
ベテラン医師の外来を受診して検査の予約をしても、実際に検査するのは別の医師ということもよくあります。
もちろん先輩医師の監督下に検査を行っていますが、若い医師に経験を積ませるのがこうした病院の役割のひとつなので受け入れるしかありません。
そこでおすすめなのが、消化器内科で開業している40~50代の医師がいるクリニックを受診することです。
開業している医師は一定の経験を積んでから開業していることが多いので安心できます(ホームページの医師の経歴も確認しましょう)。
またクリニックは患者さんからの評判が経営に直結するため、患者さんに苦痛を与えないことを重視しています。
ただ最近は外科出身の医師が消化器内科を標榜(ひょうぼう)して内視鏡検査を行っているクリニックも増えています。
外科出身でも経験豊富で上手な医師はいると思いますが、内科出身の医師を選ぶのが無難だと思います。
最新の細径内視鏡
口から行う内視鏡は太さが8~9mmあるのに対して、経鼻内視鏡で用いられる細径内視鏡は5~6mmとかなり細くなっています。
また鼻から挿入するとのどを刺激しにくいので、えずきにくくなります。
以前は経鼻内視鏡は画像が劣っており、診断の精度が落ちるのが問題でしたが、最近の機種は画像がかなりよくなりました。
そのため診断の精度を落とすことなく、楽に検査が受けられるようになっています。
ただし経鼻内視鏡は鼻腔が狭い人は内視鏡が入らなかったり、鼻の痛みが強い人も一部でみられます。
そうした場合は、経鼻用の細径内視鏡を口から挿入するのがおすすめです。
検査の苦痛に配慮しているクリニックであればそうした対応をしてもらえます。
ホームページで上記のような内容を丁寧に説明しているクリニックを選ぶのが確実です。
鎮静剤を使う
内視鏡検査で最も難渋するのが、がちがちに緊張して身体に力が入っているケースです。
検査を行う上で重要なスキルのひとつが、上手に声をかけて患者さんをリラックスさせることです(検査そのものの腕前だけではありません)。
鎮静剤は意識レベルを下げるだけでなく、患者さんの力が抜けるのが最も大きなメリットです。
検査に対して不安が強い人や以前に検査がつらかった人は鎮静剤を使うのがおすすめです。
鎮静剤は呼吸を抑える作用もあるため、まれに死亡事故の報告がありますが、高齢で病気がある人にリスクがあるだけで、若い人はまず心配ありません。
デメリットとしては鎮痛剤の影響が検査後もしばらく残る可能性があり、当日は車や自転車、バイクの運転は避ける必要があることです。
身体の力を抜いて大きな苦痛なしで検査が受けられる人は、必ずしも鎮痛剤を使う必要はありません。
まとめ
以上胃カメラを楽に受けるための3つのポイントを紹介しました
胃がんは以前より少し減りましたが、まだまだ年間10万人以上が罹患し、がんの罹患数の3位です。
胃がんで亡くなる方を減らすために、内視鏡は必須の検査です。
最近は検診で内視鏡検査が受けられる自治体も増えています。
総合内科専門医:荒井 隆志
コメント