先日内視鏡検査を行った患者さんに進行した大腸がんがみつかりました。
この方は5年前から便の潜血検査が陽性でしたが、内視鏡検査を受けていなかったため進行してしまったと考えられます。
このようなケースはよくみられます。今回大腸がんの予防についてまとめてみました。
日本で増加している大腸がん
日本では大腸がんに年間約15万人が罹患し、約5万人が死亡しています。
罹患数は全がんの第1位で、死亡数は第2位になっています
女性では死亡数の第1位で、乳がんや子宮がんよりも多くの方が大腸がんで亡くなられています。
戦前には少なかった大腸がんが増えてきたのは、食生活の欧米化が一因とされています。
しかし、いまや日本の大腸がんの罹患率はアメリカなどの欧米諸国を抜いて、2020年の推計では世界で第8位にまで悪化しています。
大腸がんの予防法
何とか減らしたい大腸がんですが、予防で大切なのが、生活習慣と検診の2つです。
- 大腸がんを予防する生活習慣
加工肉や赤身肉(豚や牛など)の摂取は大腸がんのリスクを上げるため、特にハムやウィンナーなどの加工肉は減らすことが勧められます。
また飲酒も大腸がんを増やすことが明らかになっており、特に日本人は欧米人と比べて飲酒の悪影響が強く、飲酒量が増えないように注意が必要です。
肥満や運動不足も大腸がんのリスクになるため、適度に運動して適正体重を保つことが重要です。
- 大腸がんを予防する便潜血検査
さらに大腸がんの場合は、がん検診を受けることも予防につながります。
なぜかというと、便潜血検査を確認して早めに大腸内視鏡検査を行うことで、大腸がんの前段階である腺腫の段階で切除ができるからです。
しかし日本のがん検診受診率は40~50%程度で、欧米と比べてとても低いのが問題です。
さらに便潜血検査で陽性になっても、精検(大腸内視鏡検査)を受けたのは、6割にとどまっているという問題もあります(便潜血検査が陽性なのに放置するのはとても怖いことです)。
自治体のがん検診を利用すれば、安い料金(300円ぐらいが多いです)で便潜血検査を受けることができます(40歳以上の人が対象になります)。
便潜血検査が陽性であれば、保険で大腸内視鏡検査を受けることができます。
おわりに
大腸がんはかなりのケースで予防が可能ながんです。
便潜血検査や内視鏡検査を受けるのが面倒だったりこわい気持ちもわかりますが、検査を受けないほうが圧倒的に危険です。
ぜひ検診で便潜血検査を受けて、陽性なら必ず内視鏡検査を受けるようにしましょう!
総合内科専門医:荒井 隆志
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